平成27年度 視察概要
平成27年度 視察概要
1 視察日 平成27年10月19日、20日、21日
2 視察先 福岡県北九州市 室町一丁目地区市街地再開発事業について
大分県大分市 ふるさと団地の元気創造プロジェクトについて
鹿児島県鹿児島市 安全安心住宅ストック支援事業について
老朽空き家等対策事業について
3 参加者 馬上剛、高橋美幸、宇賀神文雄、篠崎圭一、岡本芳明、
小林紀夫、荒川恒男、今井恭男、中山勝二
建設常任委員会委員長 馬上 剛
本委員会においては、「室町一丁目地区市街地再開発事業」「ふるさと団地の元気創造プロジェクト」「安全安心住宅ストック支援事業」「老朽空き家等対策事業」について、先進都市の事例を学び、本市の参考とするため、行政視察を行った。
1 室町一丁目地区市街地再開発事業について(福岡県北九州市)
室町一丁目地区は、小倉城などの歴史的建造物や勝山公園などの自然資源を生かし、景観にも配慮がなされた建造物設計が特徴的な地区であり、当地区には官公庁や文化施設、大学などの高度な都市機能の集積が図られた再開発により、200万広域都市圏の中核都心にふさわしい個性的かつ魅力あるにぎわい空間が創出されていた。
また、地区内を流れる紫川は貸しボートやクルージングに活用され、河川敷では各種イベントが開催されるなど、市民の憩いの場としての役割を果たすほか、リバーウォーク北九州内には集客規模に応じた3種類のホールが備わった芸術劇場や映画館、美術館分館があり、文化拠点としても十分な設備が整備されていた。
この事業は、施設の老朽化やにぎわいの減少を受け、まちづくりの機運が高まっていたことから、民間主導で迅速に取り組みが進められた事例の一つであり、類似した立地条件を持つ本市にとっても参考になるものであった。
2 ふるさと団地の元気創造プロジェクトについて(大分県大分市)
ふるさと団地の元気創造プロジェクトは、少子超高齢時代を迎え、さまざまな問題が表面化してきた郊外型住宅団地を活性化させるため、同様の問題を抱える他都市と協議会を設立し、現状把握や実状に応じた取り組みについて情報交換を行うなど、他都市とも協力しながら推進している事業である。
大分市では、市の課題の本質と今後の方針について、市と住民間でファシリテータを交えたワークショップを行い、住民にも当事者意識を持たせることで官民一体となった事業を実施しており、住民からの意見をもとに作成した取り組みメニューについて、できるものから順番に取り組むことで、住民の意識向上や地域に対する愛着心を育むほか、住民みずからが各自の才能を生かした各種施策を提案し、自主的に関与することを通じて、団地内の空き家減少や人口の下げ止まりなどの一定の成果が生じるなど、他市に類を見ないまちづくりという観点からも参考になる取り組みであった。
3 安全安心住宅ストック支援事業について(鹿児島県鹿児島市)
安全安心住宅ストック支援事業は、前年度まで実施されていた安心快適住宅リフォーム支援事業と木造住宅耐震診断・改修工事補助事業を組み合わせた制度である。
本制度は、安全で良質な住宅ストックの形成を図るとともに、子育て・高齢者等世帯の安心な住まいづくりの促進を図ることを目的とするなど、国で示している人口減少問題の克服や地方創生の観点を取り入れた制度設計となっている。
また、鹿児島市の現状やこれまでの制度の反省点をうまく反映することにより、今年度から開始されたにもかかわらず、当初予定件数の約2倍の応募があるなど、市民ニーズの高い制度となっている。
建物の耐震化からリフォームまでを一連の流れとした補助制度であり、空き家についてもリフォーム制度の対象とすることで、空き家対策にも貢献するなど、参考になる取り組みであった。
4 老朽空き家等対策事業について(鹿児島県鹿児島市)
老朽空き家等対策事業は、鹿児島市全域から高齢化率と人口増減について偏りのないよう調査地区を選定し、老朽空き家の状況や周辺へのさまざまな悪影響について実態調査を行い、空き家が放置される原因を詳細に分析することによって、あらゆるケースに対応可能な空き家等の適正管理に関する条例を制定しており、平成27年の国による空き家等対策の推進に関する特別措置法施行後も、法律を補完するために鹿児島市が独自に整備した内容を条例として残すよう改正するなど、工夫が凝らされている。
また、危険空き家等解体工事補助については、条例による対策とあわせて空き家への対策を拡充したものであり、平成26年度は20件の解体実績があるなど、市民の安全や生活環境の確保に寄与しており、条例施行をきっかけに鹿児島県建造物解体業連合会がボランティアにより、危険空き家を解体するなど、予期せぬ効果も生じており、参考になる取り組みであった。
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