脱炭素社会調査特別委員会
視察概要
1 視察日 令和6年1月23日、24日、25日
2 視察先 愛知県岡崎市 脱炭素先行地域の取組について(どうする脱炭素?岡崎城下からはじまる、省エネ・創エネ・蓄エネ・調エネのまちづくり)
兵庫県尼崎市 脱炭素先行地域の取組について(阪神大物地域ゼロカーボンベースボールパーク整備計画~地域課題解決型!官民連携事業~)
大阪府堺市 脱炭素先行地域の取組について(堺エネルギー地産地消プロジェクト)
3 参加者 駒場昭夫、山崎昌子、今野哲也、出井昌子、茂木祐佳里、佐藤孝明,
小倉久美、菅原一浩、柴田賢司、高橋英樹、平松明夫、菅野大造、
福田久美子、岡本芳明、塚田典功
4 視察結果
本委員会においては、「脱炭素先行地域の取組」について、先進都市の事例を学び、本市の参考とするため、行政視察を行った。
脱炭素社会調査特別委員会 委員長 駒場 昭夫
1 脱炭素先行地域の取組について(どうする脱炭素?岡崎城下からはじまる、省エネ・創エネ・蓄エネ・調エネのまちづくり)(愛知県岡崎市)
岡崎市においては、2021年6月、市長のトップダウンにより脱炭素先行地域の選定を目指す方針を決めた。現在の取組として、ごみ発電や非FITの木質バイオマス発電、オフサイトPV(太陽光発電)などを活用し、地域新電力会社「岡崎さくら電力」からエリア内の住宅や民間施設、公共施設等に電力を供給するとともに、特筆すべき取組として自動車メーカーと連携し、廃バッテリーを定置型蓄電池として住宅や防犯灯などに再利用している。
また、太陽光発電・蓄電池を地域主導で最大限導入するなど、町内会の加入率が約9割と非常に高い地域特性を生かし、地域主導で脱炭素化を推進する体制が特徴である。
なお、事業の課題として、資材の高騰等によるPPA事業費の増大が挙げられるとのことから、本市においても継続して注視すべきである。
岡崎市の脱炭素社会の実現に向け市民・企業・公共が連携した体制・枠組みは、本市の脱炭素化において民間との連携強化を検討する上で、大いに参考となるものであった。
2 脱炭素先行地域の取組について(阪神大物地域ゼロカーボンベースボールパーク整備計画~地域課題解決型!官民連携事業~)(兵庫県尼崎市)
尼崎市におけるゼロカーボンベースボールパークの取組は、阪神グループとの官民連携事業として進められており、EVバスの導入やゼロカーボンナイターの開催など、民間活力を最大限活用し地域の活性化にも貢献する取組である。
また、電子地域通貨「あま咲きコイン」ポイント事業では、健康づくりや環境に優しい活動、ボランティアなどSDGsの達成につながる行動を実践することにより、市内の加盟店で利用できる電子地域通貨のポイントが付与される仕組みである。
なお、尼崎市は「尼崎市気候非常事態行動宣言」の表明等、様々な事業の展開により、2021年のCO₂排出量は2013年比でマイナス34.6%を達成している。宣言のパンフレットの全戸配布等の施策により、市民が気候危機を身近に感じ、自分事として捉えることで行動変容につながっていると思われる。
尼崎市の交通事業者との連携、スポーツ施設の活用、市民の行動変容に係る取組は、本市の脱炭素化の推進に大いに参考になるものであった。
3 脱炭素先行地域の取組について(堺エネルギー地産地消プロジェクト)(大阪府堺市)
堺市は、2009年に環境モデル都市に認定されて以降、2011年に堺太陽光発電所を開所、2013年から泉北ニュータウン内に日本初のゼロエネルギータウンを創出、2021年には市長のトップダウンにより堺環境戦略の策定やゼロカーボンシティを表明するなど先進的な取組を進めてきた。
特筆すべき施策として、市庁舎のZEB化や泉北ニュータウンにおいて老朽化した府営住宅の建て替えの際に高層化等による集約を行い、余剰地を売却する際に売却条件を次世代ZEH+、太陽光発電、蓄電池等の導入とすることで、まち全体で脱炭素とレジリエンス向上を図るゼロエネルギータウンの創出を進めており、全国的に課題を抱えるオールドニュータウンのロールモデルとなる可能性がある。
また、堺・モビリティ・イノベーションプロジェクトについては、官民連携で次世代都市交通(ART)の導入や次世代モビリティーのショーケース化等を進め、ウォーカブルな街路空間を構築し市内外からの交流人口を増加させることにより、まちなかの魅力向上やにぎわいの創出が期待されている。
老朽化したインフラの更新と脱炭素の両立を図る堺市の取組は、本市の脱炭素化の推進に大いに参考になるものであった。
・次世代ZEH+:一般的なZEHの条件をクリアすることに加え、一次エネルギー消費量を25%以上削減した住宅であるZEH+に、蓄電設備等を導入した住宅のこと
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