令和7年度施政方針

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ページID1040549  更新日 令和7年3月25日

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 令和7年第1回市議会定例会の開会に当たり、私の市政運営に対する所信の一端を申し上げるとともに、議案第17号から第30号までの令和7年度宇都宮市一般会計予算及び特別会計予算の大綱につきまして御説明申し上げ、議員各位を始め、市民の皆様の御理解と御協力を賜りたいと存じます。

市政運営の基本方針

 それでは、「市政運営の基本方針」につきまして、述べさせていただきます。

 人口減少・少子超高齢社会の本格化や、長引く物価高騰、自然災害の増加・激甚化など、本市を取り巻く社会経済環境が絶えず変化し続ける中にありましても、今を生きる市民はもとより、未来を生きる市民の誰もが、豊かで便利に安心して暮らすことができ、夢や希望がかなうまち「スーパースマートシティ」をいち早く築き上げることが、市民の皆様から6期目の市政運営の負託をいただいた私の責務であると考えております。

 このような中、6期目の初年度となる令和7年度につきましては、今後の駅西側へのライトライン延伸に対する期待や、まちなかでの民間による開発意欲が高まっておりますことから、この好機を生かして、国内外から本市に多くの人や企業を呼び込み、新たな交流や民間からの投資を一層促進するための、大変重要な1年になると捉えております。
 このため、私は、「スーパースマートシティ」の具現化・深化を図っていけるよう、新年度におきましては、未来への投資を積極的に行い、本市の活力の源となる「人」の持続的な育成と、「NCC」を土台とした「地域共生社会」「地域経済循環社会」「脱炭素社会」の3つの社会の構築に、スピード感を持って取り組んでまいります。
 こうした取組により、国内屈指の魅力と活力、存在感を備えることで、女性や若者をはじめとしたあらゆる人の活躍を通した、まちづくりの担い手の増加・定着と、市民活動・事業活動の活発化を促進し、その結果、税収が増えるなど、地域全体の「稼ぐ力」を高め、更に未来への投資へとつなげていくことで、本市の魅力がより一層向上していく好循環を生み出していく所存であります。

 このような決意の下、まずは、本市の活力の源となる「人」の持続的な育成に向けまして、市民の結婚から妊娠・出産、子育て・教育まで切れ目のない支援として、妊娠前後における体調管理のサポートを強化するとともに、天候を気にせず遊べる子育て環境や地域と連携した部活動の指導環境の充実、さらには、児童生徒一人一人の教育環境の充実、給食費などの経済的負担の軽減などにより、宮っ子が人間力を高め、のびのびと成長できるよう取り組んでまいります。
 また、女性が働きやすく職場復帰しやすい環境づくりや、女性特有の健康課題の解決に向けた「フェムテック」の活用促進など、女性活躍を強力に推進するための体制や取組を充実してまいります。

 次に、持続可能なまちづくりの土台である「NCC」の形成として、本市の拠点性を高めていくため、都市拠点であるJR宇都宮駅西口周辺地区や大通り沿線など、都心部のウォーカブルなまちなか空間の形成を官民一体となって進めるとともに、産業拠点や観光拠点などにおきましても、全市的なにぎわい・交流を創出できるよう、機能・基盤を充実してまいります。
 また、本市交通ネットワークの利便性・接続性を一層向上させるため、公共交通ネットワークの基軸となるライトラインの駅西側延伸について、2030年の開業を目標として取組を進めていくとともに、多様な公共交通の乗り継ぎ利便性を高めるための取組を着実に進め、交通の円滑化に向け、道路ネットワークを充実・強化してまいります。

 次に、絆を深め、共に支え合う「地域共生社会」の構築として、住み慣れた地域でいつまでも生き生きと暮らせるよう、自治会条例の制定・施行に併せて、市民に最も身近な自治会の活動をより一層支援してまいります。
 また、シニア世代が交流できる環境や、障がい者とその介護者が安心して日常生活を送れるよう、「親なき後」を見据えた支援を充実するとともに、地域社会が一体となった子どもの安全・安心の確保や健全な育成を強化してまいります。

 次に、人・モノ・情報が行き交う「地域経済循環社会」の構築として、まず、「スポーツのまち うつのみや」の確立に向け、本市が世界に誇るスポーツ資源をフル活用し、にぎわいの創出や地域経済の活性化が図れるよう、産学官が連携して、スポーツと様々な分野を掛け合わせ、新たな価値を創造してまいります。
 また、更なる関係人口の増加に向け、東京圏から本市への移住・定住を促進するためのプロモーションに取り組むとともに、大谷地区の観光資源の磨き上げ、さらには、他自治体との連携によるMICE誘致やインバウンドを強化してまいります。
 そして、市内産業の更なる発展に向け、国内有数の産業拠点の充実・強化やイノベーションの創出、東京オフィスの機能強化に取り組むとともに、農業の生産力の向上や環境負荷の低減を推進してまいります。

 次に、CO2排出量を実質ゼロとする「脱炭素社会」の構築として、「脱炭素先行地域」を中心に、官民連携による公共施設や民間施設への太陽光発電設備の設置など、再生可能エネルギーの供給と利用の拡大に向けた取組を着実に進めるとともに、公共交通の脱炭素化と利用促進を進め、「ゼロカーボンムーブ」を更に推進してまいります。

 さらに、市民の生命や暮らしを守る「安全・安心なまちづくり」として、避難所機能の強化や消防体制の充実、総合的な治水・雨水対策を着実に推進するとともに、地域や商店街の防犯体制を強化してまいります。

 これらの取組の効果をより一層高めていけるよう、これまで推進してまいりました、市民・事業者・地域団体・行政など、多様な主体が持つそれぞれの強みを生かし、共に創り上げる「共創のまちづくり」に磨きをかけてまいります。

予算編成の基本方針

 このような認識の下、「予算編成の基本的な考え方」につきまして、御説明申し上げます。

 本市における令和7年度の財政の見通しにつきましては、自主財源の根幹を成す市税収入について、個人市民税等の順調な伸びや定額減税の終了により、令和6年度当初予算から46億円余の増となる982億円余を見込んでおり、歳出面では、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となることなどにより医療・介護・経済に大きな影響を及ぼす、いわゆる「2025年問題」や物価高騰、賃金上昇等を背景に、子ども支援や高齢者医療、障がい者福祉サービスへの給付費、物件費、補助費等などの消費的経費が82億円余の増となるとともに、東部総合公園の整備や小中学校の長寿命化改修工事などの投資的経費についても27億円余の増と見込んでいるところであります。
 このような中、新年度の予算編成に当たりましては、夢や希望がかなうまち「スーパースマートシティ」の具現化・深化を果たしていくため、「財源確保の徹底」と「行政資源配分の最適化」を基本に、真に必要となる施策・事業を厳しく精査するとともに、市債や基金を最大限効果的に活用し、本市が50年先、100年先も持続的に発展できるよう、「未来への投資」に積極的に取り組むことといたしました。

 このような基本的な考え方の下に編成いたしました一般会計当初予算案は、前年度当初予算額に対しまして、4.8パーセント増の2、406億3、000万円を計上したところであります。また、10の特別会計の予算額1、284億円余と3つの企業会計の予算額571億円余を合わせた予算の総額といたしましては、前年度の当初予算総額に対しまして、5.3パーセント増の4、262億円余を計上したところであります。

主要な施策

 次に、「主要な施策」につきまして、「第6次総合計画後期基本計画」の施策の体系に基づき、その概要を御説明いたします。

 はじめに、第1「子育て・教育の未来都市」についてであります。
 まず、「全ての子どもが安心して健やかに成長できる社会の実現」につきましては、結婚の希望をかなえる支援の充実を図るため、様々なニーズに応じた多様な婚活イベントを実施するほか、子育て世帯の経済的負担の軽減を図るため、小中学校と保育施設等の給食費について、児童生徒一人につき月額2000円の助成を実施してまいります。
 また、子育て支援の充実に向け、ファミリーサポートセンター事業の利用対象者を従来の小学生から中学生までに拡充するほか、「宮っこ子育てアプリ」におけるオンライン手続の機能拡充や全天候型子どもの活動の場の拡充に向けた検討を進めてまいります。
 さらに、ヤングケアラーを早期に把握し、支援につなげるための実態調査を実施するとともに、本市にふさわしい児童相談所の設置に向けた基本計画を策定してまいります。
 次に、「誰もが夢や希望を持ち必要な教育を享受できる社会の実現」につきましては、教育環境の充実に向け、児童生徒用1人1台端末の計画的な更新や部活動の地域連携・移行を推進するための体制強化のほか、メンタルサポーターの配置日数の週5日への拡充や中学校武道場への空調設備の導入を進めてまいります。
 次に、「誰もが生涯を通じてスポーツを楽しむ社会の実現」につきましては、北西部地域体育施設の整備や東部地域における屋内プールの基本設計に取り組んでまいります。

 第2は、「健康・福祉の未来都市」についてであります。
 まず、「誰もが心身ともに健康に生活できる社会の実現」につきましては、女性の健康づくりの更なる推進を図るため、30歳・35歳の女性を対象に、子宮がん検診へのHPV検査導入と自己負担額の無償化を実施するとともに、国の帯状疱疹ワクチンの定期接種化の方針を受け、令和7年4月から定期予防接種を開始してまいります。
 次に、「あらゆる市民が安心し支え合いながら、自立して生活できる社会の実現」につきましては、高齢者等が住み慣れた地域で生き生きと暮らせるよう、買物支援と交流機会の創出に向けた移動販売の導入や拡充に対して助成を実施するとともに、障がいのある人が「親なき後」も住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、障がい者や介護者に対する個別相談会を実施するなど、支援体制を強化してまいります。

 第3は、「安全・安心の未来都市」についてであります。
 まず、「誰もが安全・安心に日常生活を送ることができる社会の実現」につきましては、災害時における衛生的な避難所生活を確保するため、自走式水洗トイレカーを導入するほか、河川や公共下水道雨水幹線、道路の排水施設の整備など、総合的な治水・雨水対策に引き続き取り組むとともに、南消防署の機能強化に向け、移転改築による整備に取り組んでまいります。
 次に、「市民が互いに尊重し、支え合う社会の実現」につきましては、地域主体の協働によるまちづくりを推進するため、自治会における高齢者等の負担軽減に係る取組や口座振替による自治会費の集金などの取組を支援してまいります。
 また、女性の活躍推進に向けて、組織全体での取組を強化するため、女性活躍担当専門員を任用するほか、女性特有の健康課題をテクノロジーで解決するフェムテック製品の活用促進に取り組むとともに、企業における職場環境改善や健康経営に対する助成を実施してまいります。

 第4は、「魅力創造・交流の未来都市」についてであります。
 まず、「地域資源を守り、活用した賑わいと活力ある社会の実現」につきましては、交流人口の創出や拡大に向けて、周辺自治体との連携によるインバウンドの促進や官民連携によるMICEの推進のほか、スポーツと他の産業との融合による新事業創出や社会課題の解決を目指す、産学官が連携したプラットフォーム「(仮称)みやSOIP」の運営支援に取り組んでまいります。
 また、友好都市である沖縄県うるま市との文化交流事業の実施や歴史・文化デジタルミュージアムを開設してまいります。
 次に、「着実な定住の促進や移住・関係人口の増加による持続可能な地域社会の実現」につきましては、移住・定住相談窓口の運営や移住支援金の交付のほか、多様なメディアを活用した宇都宮ブランドプロモーションの展開、東京圏における交流・活動拠点である東京オフィスの機能強化に取り組んでまいります。

 第5は、「産業・環境の未来都市」についてであります。
 まず、「各種産業の強みを生かした持続的に発展する社会の実現」につきましては、引き続き新たな産業団地の整備に向けた取組を着実に進めるほか、中央卸売市場の活性化に向け、新たな交流やにぎわいを創出する「賑わいエリア」につきまして、令和8年3月の開業に向けて整備を進めてまいります。
 また、農業分野におきましては、スマート農業やグリーン農業を推進するため、AI等を活用した営農管理システムと連携可能な農業機械や環境負荷低減に資する生分解性マルチ等導入への助成を拡充してまいります。
 次に、「脱炭素で循環型、自然共生社会の実現」につきましては、カーボンニュートラルの実現に向け、脱炭素先行地域における取組を着実に推進するとともに、市内事業者の温室効果ガス排出量の削減目標設定やバス・地域内交通・タクシーのEV化等に対する助成の実施、公共施設における再生可能エネルギーの更なる導入やLED化に取り組んでまいります。

 第6は、「交通の未来都市」についてであります。
 まず、「魅力的で持続可能な都市空間の形成」につきましては、都心部のまちづくりを加速化させるため、JR宇都宮駅西口における市街地再開発事業など、駅西口周辺地区整備の推進をはじめ、大通り沿線における優良建築物等整備事業の促進や民間によるパルコ跡の利活用を契機とした、まちのにぎわい創出に係る調査に取り組んでまいります。
 また、令和9年に開園100周年を迎える八幡山公園の魅力向上事業を推進するとともに、「アークタウン宇都宮」に愛称が決定した東部総合公園の令和8年3月の開園に向け、着実に整備を進めてまいります。
 さらに、上下水道サービスにおきましては、安全・安心でおいしい水道水の安定供給や、下水の適正処理を着実に進めるほか、基幹施設の耐震化や老朽管等の改築・更新による強じんなライフラインの構築、AI管路劣化診断など、先端技術を活用したDXを推進してまいります。
 次に、「誰もが快適に移動できる総合的な交通ネットワークの実現」につきましては、ライトラインの利用促進に向けて、停留場の駐輪場増設や安全性と速達性向上の推進に取り組むほか、ライトラインのJR宇都宮駅西側の事業化に向け着実に取組を進めてまいります。
 また、公共交通の利便性向上と利用促進を図るため、「市内のどこから乗っても どこまで行っても 片道500円」制度の導入のほか、道路ネットワークの機能強化を図るため、令和8年3月の都心環状線の開通に向けて整備を進めるとともに、(仮称)大谷スマートインターチェンジの整備に取り組んでまいります。

 最後に、「各政策の柱を支える行政経営基盤」についてであります。
 まず、行政DXの実現に向けた取組につきましては、有人チャットを活用したリモート相談窓口の導入やファミリーサポートセンター利用手続のオンライン化、職員のスマートワーク推進に資する新たなクラウドサービスを導入してまいります。
 また、限りある経営資源の価値を最大限に発揮するとともに、職員がやりがいを持って生き生きと働くことができる職場環境づくりなどに取り組むことにより、社会や暮らしの変化に対応した質の高い公共的サービスの提供に努めてまいります。

 ただ今申し上げた「スーパースマートシティ」の具現化・深化に向けた様々な施策を着実に推進する執行体制の整備といたしまして、更なる女性活躍の推進に向け、総合政策部に「女性活躍推進官」及び「女性活躍推進課」を設置するほか、次期ごみ焼却施設をはじめとする廃棄物処理施設の着実な整備に向け廃棄物施設課に「廃棄物処理施設整備室」を設置するなど、柔軟で機動的な執行体制を整備してまいります。

むすび

 以上、市政運営に関する私の所信の一端と、令和7年度当初予算案の大綱などにつきまして申し上げました。
 私は、本市が、風格と魅力、利便性を兼ね備えた都市基盤を有し、多くの人でにぎわい、全国の中の宇都宮、世界の中の宇都宮として強く光り輝く存在感を備える「全世界に輝きを放つリーディングシティ」として飛躍し、持続的に発展していけるよう、市政運営に全力で取り組んでまいりますので、議員各位を始め、市民の皆様には、なお一層の御支援と、御協力を賜りますよう、心からお願い申し上げます。

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