アンペイド・ワークを可視化する ~1975年アイスランドから宇都宮の女性たちへ~【女性活躍推進専門官 斎藤 悦子 氏】

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ページID1045683  更新日 令和8年4月2日

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アンペイド・ワークを可視化する ~1975年アイスランドから宇都宮の女性たちへ~

宇都宮市 女性活躍推進専門官 斎藤 悦子 氏

斎藤専門官

プロフィール

・お茶の水女子大学大学院でジェンダー統計論を教える。2012年に内閣府男女共同参画局「国際的に連携した女性のエンパワーメント促進」チームに学識者として参加。現在、福井県男女共同参画審議会委員委員長、東京都港区男女平等参画推進会議委員長を務める。とちぎ男女共同参画センター(パルティ)の「とちぎウーマン応援塾」において講師を担当
R7年6月宇都宮市女性活躍推進専門官就任
 

 

家事・ケア・連帯の価値を再考する:日本とアイスランドに見るアンペイド・ワーク

アンペイド・ワークとは何か——見えない労働の構造的過小評価

 アンペイド・ワークとは、家事・育児・介護・地域活動など、報酬のない労働を指し、市場経済の記録に残らず、歴史的に価値が過小評価されてきた。また、こうした労働が市場化された職種では低賃金につながるという特徴もある。

国際的認知と日本における経済価値の試算

 1995年の北京会議以降、アンペイド・ワークの重要性が国際的に認識され、日本でも生活時間調査を用いて経済価値が算定されている(1996年には専業主婦の家事労働が年間276万円相当と試算)。

アイスランド「女性の休日」に見る社会変革のインパクト

 大きな社会変革の例として、1975年のアイスランド「女性の休日」が挙げられる。全女性の90%が家事・仕事をストップし、社会機能が麻痺したことで女性の不可欠性が可視化され、女性議員の増加や世界初の女性大統領誕生など政治的進展につながった。

日本のジェンダーギャップとアンペイド・ワークの偏在

 統計比較では、日本はジェンダーギャップ指数で118位と低く、特に政治・経済分野が弱い。生活時間調査でも、日本(栃木県含む)の男性のアンペイド・ワーク時間は女性の1/3以下と依然として差が大きい。また、日本は社会的活動時間がOECD最下位であり、長時間労働やケア負担の集中、会社中心の人間関係などが交流不足の要因となっている。
 一方アイスランドでは、17時退勤が社会標準で、夕方には人々が交流し合う文化が根付く。ケアも家庭だけでなく社会が担い、日常的な「余白の時間」が連帯を育む土壌となっている。

宇都宮市への提言(まとめ)

•    家事・ケア労働の価値を社会全体で再認識する意識変革
•    労働時間の見直しを含む「時間の再配分」で、男女の家事負担の平準化と交流時間の確保
•    市が整備するネットワークプラットフォームを活用し、家庭・職場以外の第三の場で対話を促進

 アンペイド・ワークの可視化は、社会の前提を問い直し、日常的なつながりを通じて連帯を育む重要な行為であり、社会変革の基盤となる。
 

このページに関するお問い合わせ

総合政策部 女性活躍推進課(市役所5階)
電話番号:028-632-2346 ファクス:028-632-5422
お問い合わせは専用フォームをご利用ください。