澤彩夏さんが広める「教育×スポーツ」。 15年の海外生活で学んだ“自分らしい”スポーツと人生のパフォーマンスの高め方
「スポーツ × 教育 × 女性の役割」
澤 彩夏 氏

プロフィール
1989年生まれ。オランダ本部のモンテッソーリ・スポーツの日本代表。モンテッソーリ教育の理念をスポーツに取り入れ、融合させた教育方法を推進する一般社団法人ポテンシャルスポーツ評議員、長年の海外生活の視点をいかし平出工業団地Presents事業の魅力“見える化”ラジオパーソナリティを務める。2025年7月、宇都宮市男女共同参画審議会公募委員に就任。
宇都宮から世界へ。アメリカ留学で受けた「自由」の衝撃
― これまでのキャリアを教えてください。
〇 幼少期からサッカーに打ち込みアメリカへ留学、海外生活へ
9歳から19歳まで、宇都宮でサッカーに打ち込みました。その後、女子サッカー留学プログラムに参加し、アメリカへサッカー留学をしました。この留学経験が、現在の活動の原点となっています。アメリカでは現在の夫と出会い、その後フランス、ベルギーへと拠点を移し、約15年間にわたり海外で生活する機会に恵まれました。海外では、サッカー選手としてプレーするだけでなく、ラグビーやサッカーのコーチとしても活動しました。また、ベルギーではモンテッソーリ教育に携わり、インターナショナルスクールで働きながら、3歳から6歳を対象としたモンテッソーリ国際教員免許を取得しました。これらの経験すべてが、現在の活動へとつながっています。
― 影響を受けたエピソードを教えてください。
〇 自由な文化の中で「自分自身」を知る
アメリカでのサッカー経験は、大きな転機となりました。アメリカのロッカールームでは試合前に選手たちが自由に踊ったり、音楽を聴いたり、ガムを噛んだり、化粧をしたりしていました。日本のルールの中で生きていた私にとっては何をしていいかわかりませんでした。その自由な時間が苦痛でした。チームメイトからは「彩夏は何のために誰のために我慢しているの?なんで自分の準備の仕方を知らないの?」と問われ、自分がいかに自分自身のことを知らず、何がモチベーションを高めるものかも分かっていなかったことに気づかされ、この出来事が、自己見直しのきっかけとなり、自分のルーティンや好きなもの、集中できる方法を探す日々が始まりました。




― 経験の中で得たものは何ですか。
〇 リラックス状態でのパフォーマンス向上
試合中に、意図を持ちながらも何度も同じミスを繰り返していたとき、コーチから「気にする必要はないよ、それはあの状況でも最善のアイデアなのだから挑戦しなさい。何で挑戦している君に怒る必要があるの?何で怒られると思うの?」と言われたことで、衝撃を受けました。身体が軽くなり、リラックス状態になりました。その結果、次に同じプレーを試みた際に一度で成功し、脳と体と心の繋がりの深さを実感しました。この気づきが、脳や身体の研究に繋がり、現在の活動の基盤となっています。モンテッソーリの理念とスポーツを組み合わせた活動を通じて、子供たちがポジティブな思考習慣を身につけることで、スポーツだけでなく、その後の人生も楽しめるようになることを目指しています。
言葉の壁、震災、コロナ禍…。海外での壮絶な出産・育児経験
― ライフイベントについてお聞かせください。
〇 海外での出産、子育て
私の中でのライフイベントは2人の子供を自然災害に見舞われながら海外で出産したことです。長男は東日本大震災の年に出産。放射能などの関係で妊娠8か月までアメリカ、フランス、日本のどこで産むか決まりませんでした。最終的にフランスで産むことになりましたが、フランス語が全く分からず、「ウィ(はい)」しか言えない状況での出産は、精神的に非常に辛い経験でした。さらに、次男はコロナ禍で出産し、面会禁止、マスク着用の出産、陣痛中のコロナ検査など、さらなる困難を伴いました。コロナの関係で出産2日後には退院しなくてはいけなかったので、体がボロボロのまま退院しました。人に会うことや外出が禁止されていたので、上の子と下の子の世話と家事も一人でこなし、苦労した経験から「人間はやろうと思えば何とでもなる」という強い精神力を身につけました(笑)。
― 忙しい中でも自分磨きを続けたのですね。
〇 時間に追われるのではなく、時間を管理する
仕事、育児、家事をしながら、フランス語と英語で1年半にわたるモンテッソーリ教員免許の勉強を続けました。休みなく生活する中でパニックになってしまうことがありましたが「時間に追われるのではなく、時間を作る、時間の管理をする」という時間管理術を学びました。これは、仕事、家族、勉強の時間を明確に区切ることで、それぞれに集中できるようになりました。子供たちとの関係を良好に保ち、仕事や勉強でも目の前のことをしっかりできるようになりました。
ロールモデルは「麦わら帽子の彼」。信念を持って突き進む力
― ロールモデルはいますか。
〇 世界的に有名な漫画の「麦わら帽子の彼」
はい。私のロールモデルは、少しふざけているように聞こえるかもしれませんが、世界的に有名な漫画の「麦わら帽子の彼」です。私は小さかった頃、自分に全く自信がなく、友達に話しかけることもできない、かなりシャイな子供でした。そんな時に彼が登場する漫画を読んで、「素敵だな!こうなりたいな!」と強く思いました。
― どのような点をモデルとしていますか。
〇 ピンチをチャンスに変える力と仲間とともに信念をもって突き進む力
彼は、どんなにすごいピンチの時でさえも、視点を転換させ、その真っ暗な闇の中でも小さな光を見つける力を持っています。自分が「辛い」「大変だ」と感じた時に、「どう視点を変えれば自分が成長できるか」「それをどう糧にしていくか」という、ピンチをチャンスに変える力がどれだけ大切かを学びました。
もう一つ、彼を見ていると、彼は目標だけを言うんです。「俺はこれをする」と。そして、あとはその目標に向かって目の前に起こることをひたすらこなし、まっすぐに信念を持って突き進んでいきます。すると、「剣士の彼」や「料理人の彼」など、様々な仲間が支えながらみんなでそのゴールに向かっていくという形がすごくかっこいいと感じました。彼のように「目標を言葉にし、あとは信念を持って行動する」姿勢を学び、行動と言葉が一致することで本当の信頼が生まれるのだと実感しました。
― 澤さんもお仲間がたくさんいますね。
〇 進化する彼を追いかけ続けて
これまでの経験を振り返ると、「これがすごくやりたい」と思ってひたすら走っている中で、自分だけではどうしていいか分からないという状態になることが多くあります。周りの人がいつもアドバイスをくれたり、一緒にやってくれたりと支えてくれました。 彼に出会った9歳から、少しずつでも彼に近づけているのではないかと少し希望を持っています。ただ、麦わら帽子の彼がまた強くなって「白い彼」になってしまったので、
私はもっと彼を追いかけなくてはいけなくなりましたが、、、笑
4世代が暮らす「ホーム」宇都宮で、次世代につなぐバトン
― 宇都宮への思いを聞かせてください。
〇 宇都宮への愛着と地域貢献
宇都宮で生まれ育ち、宇都宮を「ホーム」だと感じています。家族4世代で生活しており、様々な世代の考え方に触れることで、子どもたちが自然に「理解し、受け入れる」力を育んでいると考えています。フランス人の夫も地域に温かく受け入れられており、この環境に感謝しています。また、海外での、教育、スポーツ、女性の在り方などの経験を地元に貢献していきたいと思っております。プロスポーツが盛んな宇都宮なので男子スポーツが盛り上がれば、自ずと女子スポーツにも注目が集まり、良い相乗効果が生まれるのではないかと期待しています。女子スポーツも盛んな宇都宮を見たいと思っています。宇都宮市男女共同参画審議会公募委員に選んでいただきましたので、ぜひそちらの方でも何かしらの貢献ができたら嬉しく思います。
― 次世代の皆さんへメッセージをお願いします。
〇 ワクワクすることをあきらめないで
今の年齢、性別、役割、立場に関わらず、自分がワクワクすることや好きなことを諦めずに続けていただきたいと思っています。自分自身へのワクワクする行動が、自然と周囲のためにもなると信じています。私は、常に「人生という物語の主人公は自分自身である」と言い聞かせてきました。自分で決めた「未来」はあっても、決められた「未来」はありません。「今」の自分が未来を作ります。楽しいと思える物語(人生)を創り上げていきましょう!
― 今後の抱負をお聞かせください。
〇 強く、柔軟に、着実に前へ
活動を通して、自身の経験や学んできたことを、本質をぶらさずに伝えていくことで、「こんな選択肢もあるんだ」「これでいいんだ」と感じてもらえたら嬉しいです。例えるなら竹のように、強い土台と芯を持ちながらも、風に揺らぐしなやかさをあわせ持ち、人々を支えられる、身近な存在でありたいと考えています。現在取り組んでいる、モンテッソーリ教育とスポーツを掛け合わせた教育活動を通して、新しいスポーツ教育の考え方やマルチスポーツの実践を、海外での経験と視点を生かしながら、地域やスポーツ、そして子どもたちのために役立てていけるよう、これからも精進してまいります。


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