下山紗代子さんが語る「データ×意思決定」。悩んだときこそ“自分で決める”。 自分らしく、後悔しない人生を支える考え方

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ページID1048565  更新日 令和8年8月20日

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データサイエンス×ワークライフバランス×意思決定

宇都宮市 DX専門官 下山 紗代子(しもやま さよこ) 氏

下山専門官 インタビュー写真

一般社団法人リンクデータ 代表理事、インフォ・ラウンジ株式会社 取締役を務める。
琉球大学大学院理工学研究科海洋自然科学専攻を修了。バイオインフォマティクス系ベンチャーに就職したのち、理化学研究所に着任。生命科学統合データベース構築事業に参画。女性初の政府CIO補佐官、デジタル庁データスペシャリストを経て、国、自治体、企業、研究機関におけるデータ可視化・分析など、DX推進やデータ利活用、人材育成を支援するデータマネジメントの専門家として活躍している。
2023年度より宇都宮市DX専門官に就任。
 

好奇心から始まる「新しいことへの挑戦」

― 学生時代のエピソードなど、現在のキャリアに繋がる経験があれば教えてください。

○転校経験を通じて培ったコミュニケーション力と、生物学への探究心

小中学生の頃は転校が多く、中学校だけでも合計3校に通いました。元々は一人で遊ぶのが好きで、図書館へ行ったり、虫を捕ったり、生き物のお世話をしたりするのが好きな子どもでした。
ただ、転校を繰り返すうちに、全く知らないコミュニティに入って初対面の人と話さなければならない状況が増え、人と話すことが面白いと感じるようになりました。元々生き物が好きだったこともあり、大学では生物学を専攻しました。
 

― 現在の活動内容やキャリアと大学で専攻された生物学は離れているように思えますが、今の道に進むきっかけは何だったのでしょうか。

○見えない現象を理解したい好奇心

生物学の中でも、体内の現象を研究する「分子生物学」を専攻していました。目に見えない生体内の動きを調べるには、実験を繰り返してデータを集め、その動きを分析するというプロセスが必要になります。そこでデータを扱う面白さや難しさを知り、データサイエンスに興味を持つようになりました。
今の活動のモチベーションも、昔から変わらず「新しいことを知りたい」「現象を理解したい」というサイエンスへの好奇心です。現在は公共分野のデータを扱っていますが、「仮説通りになっているか」「なぜこの状況になっているのか」をデータで検証していく過程がとても面白いと感じています。
 

― 現在の活動について、どのような思いで取り組まれているか聞かせてください。

○多くの人の繋がりに助けられてきた

大学での研究後、沖縄のIT系ベンチャーでバイオインフォマティクス(生命情報学)に携わり、その後、関東の理化学研究所で働くことになりました。そこでは多くの研究者とディスカッションしながら、ライフサイエンス統合データベースの構築など大きなプロジェクトに関わりました。
その過程で、行政や民間の方など研究者以外の方々と接する機会が増えました。その後、組織改編をきっかけに、今の「オープンサイエンス(データを公開し共有価値を生み出す取り組み)」を追求するか、別の場所で研究員を続けるかの二択を迫られました。私は研究員という肩書きよりも、オープンサイエンスの道に進みたいと考え、思い切って研究所を辞め、一般社団法人を設立しました。
一人で組織を立ち上げ、全責任を負うことの苦労やトラブルもありましたが、どの仕事を引き受け、誰と協力するかといった全ての選択を自分自身で行ってきました。「自分で納得して決める」ことを徹底してきたので、今のところ後悔はありません。
また、決断できた背景には、コンテスト運営などで築いた多様な分野の方々とのコミュニティ(横の繋がり)がありました。多くの人の繋がりに助けられてきたと実感しています。
 

多くの人とつながってきた下山さん

― 続きまして、下山さんにとってのロールモデルがいらっしゃれば教えてください。

○これまでに出会った全員がロールモデル

今の仕事柄、本当に色々な方と関わることが多くて、自治体職員さんや自治体関係の方もそうですし、民間の経営者の方々などもお友達に多くいます。特定の「この人を目指したい」という明確なロールモデルがあるわけではないのですが、「この人のこういうところを真似したいな」と思ったり、色々な方の話を聞いて「ここは自分も見直さないといけないな」と気づかされたりすることが多いです。宇都宮市の職員さんたちや専門人材のみなさんとも一緒にお仕事をしている中で多くを学ばせていただいています。これまでに出会った皆さん全員がロールモデルのようなところがあり、良いところをどんどん吸収していきたいと思っています。

私は元々人見知りだったのですが、幼少期の転校経験のおかげでだいぶ慣れ、人の話を聞くのがすごく面白いと思えるようになりました。今は本当にたくさんの方にお会いしていますが、人それぞれに多様な人生があります。ですから、「男性はこう、女性はこう」といった固定観念ではなく、一人ひとりのライフスタイルを尊重した上で、自分自身が良いと思う道を選んでいきたいと考えています。
 

― 現代の生活スタイルやワークライフバランスについてお聞かせください。

○オンとオフを自分でコントロールできる

現在は宇都宮市のDX専門官をはじめ、複数の自治体と関わっています。業務は主にリモートで、チャットやオンライン会議を活用していますが、現地に行く必要があれば全国どこへでも出向きます。結果として、平日はほぼ毎日どこかへ出張しているような生活で、週末に家に帰るというスタイルです。
出張が多い生活をしていて、平日はほとんど全国各地の自治体へ行っているので、家のことは夫にほとんど任せているというか、やってもらっている状態です。
おかげさまで、最近も週末に一緒にスポーツを観戦することができました。普通ならこれだけ家を空けていると、土日は掃除に追われて終わってしまうところですが、夫がサポートしてくれているので、本当に感謝しかありません。

出張先では、空き時間にサップ(SUP)をしたり、マラソン大会に出場したりしています。マラソンは始めて4年目になりますが、体力をつけるために始めたところ、今では2ヶ月に1回のペースでフルマラソンに出るほどハマっています。出張先にもシューズとウェアを持参して走っています。おかげで疲れにくくなり、健康を維持できています。

仕事は裁量労働制なので、自分で時間をコントロールできる部分がありますが、複数の仕事を抱えているため、トラブルがあれば全責任を持って対応する必要があります。繁忙期は土日も仕事になることがありますが、自分の責任においてコントロールできるこのスタイルは、私に合っていると感じています。
 

SUPの様子

バイクに乗る下山さん

― 宇都宮市のDX専門官として活動される中で、宇都宮市の印象をどのように感じますか?

○昔からある魅力をもっと多くの人に知ってもらいたい

関わり始めて4年目になりますが、来るたびに楽しいと感じます。最近はLRT(ライトライン)の開通で街が盛り上がっていますし、元々活気のある街だと思っていました。お酒も好きなので、カクテルのまちとしても有名な宇都宮でのバーなどのお店巡りも楽しんでいます。特にクラフトビールが好きで、これまでに1,239種類飲んできましたが、宇都宮でもその記録を伸ばしています。
宇都宮にはまだまだ発信しきれていない魅力があると感じています。外から来た人間から見ると、独特の空気感など面白い部分がたくさんあるのですが、地元の方は見慣れてしまっていて気づかないのかもしれません。例えば、「きぶな」の伝統的なキャラクターデザインも、とても可愛くて思わず買ってしまったのですが、こうした昔からある魅力をもっと多くの人に知ってもらう方法があるのではないかと思っています。
 

きぶなのぬいぐるみ

― 今、何かに悩んだりもがいたりしている人たちへ、アドバイスがあれば教えてください。

○最後は自分で決める

悩むことはたくさんあると思いますが、最後は「自分で決める」しかないと思っています。AIが選択肢を提示してくれる時代になりますが、最終的な決定は自分ですること。これを守れば後悔はないはずです。私も日々悩みますが、自分で決めることを繰り返してきたので、今のところ後悔のない人生を送れています。
もう一つ心がけているのは、あえてアウェーな場所、つまり関わったことのないコミュニティや未経験のアクティビティに飛び込むことです。そうすることで、意外な形で悩みが解決したり、新しい視点を持つ人から刺激を受けたりして、それが後の仕事に繋がることがあります。
同じ場所に留まっていると成長が止まってしまう不安もあるので、意識的に新しい環境へ行くようにしています。年齢を重ねても、新しいことへのチャレンジに対する尻込みを乗り越えていきたいです。皆さんも、時々新しい活動にチャレンジしてみると、人生をより楽しめるのではないかと思います。
 

― 最後に、今後の抱負について教えてください。

○「データサイエンスといえば宇都宮」と言われるような環境を作ること

行政の仕事に関わる中で、行政職員の方々は本当に優秀な方が多く、いつもお仕事をしていて楽しいと感じています。ただ、行政にサイエンスの考え方をより取り入れることで、職員の皆さんの働きやすさや市民向けのサービスをさらに向上させられるのではないかと思っています。そこをうまく繋いでいきたいですね。
例えば、人口減少の中で今の業務量をそのまま抱えていると事業が破綻してしまいます。そこで、単純作業は人手ではなくデータで自動処理できるようにしたり、データとAIを連携させて住民の方一人ひとりに最適なサービスを届けたりといった、テクノロジーと行政の融合を図ることで、より魅力的な地域が作れると考えています。
特に宇都宮市はこれまでも多くのチャレンジをしてきた成長している自治体です。職員の皆さんと一緒に新しいことに挑戦し、「データサイエンスといえば宇都宮」と言われるような環境をぜひ作っていきたいと思っています。
 

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