山中　佳英さん

宇都宮市（うつのみやし）には、スポーツや芸術（げいじゅつ）をはじめ様々（さまざま）な分野（ぶんや）で、日本一（にほんいち）になったり日本（にほん）を代表（だいひょう）する活躍（かつやく）をしている人（ひと）がたくさんいます。そんな、輝（かがや）いている「宮（みや）っこ」を紹介（しょうかい）します。

山中　佳英さん

今年（ことし）8月（月曜日）、全日本剣道連盟（ぜんにほんけんどうれんめい）が主催（しゅさい）する審査会（しんさかい）において、本市在住（ほんしざいじゅう）の山中佳英（やまなかよしひで）さんが、最高段位（さいこうだんい）の8段（だん）に合格（ごうかく）しました。
　剣道（けんどう）8段（だん）は最高段位（さいこうだんい）であり、剣道（けんどう）の奥義（おうぎ）に精通（せいつう）、成熟（せいじゅく）し、技量円熟（ぎりょうえんじゅく）なる人（ひと）にのみ与（あた）えられる称号（しょうごう）であり、7段（だん）取得後（しゅとくご）、10年（ねん）以上（いじょう）の修業（しゅぎょう）を経（へ）て審査（しんさ）を受（う）けることができます。本審査（ほんしんさ）の合格率（ごうかくりつ）はわずか0.9パーセントと、極（きわ）めて難易度（なんいど）の高（たか）い審査（しんさ）です。審査（しんさ）は、1次審査（じしんさ）から3次審査（じしんさ）まであり、勝敗（しょうはい）ではなく、気迫（きはく）や姿勢（しせい）、品格（ひんかく）などが重視（じゅうし）されます。
9回目（かいめ）の挑戦（ちょうせん）で悲願（ひがん）の8段（だん）合格（ごうかく）を果（は）たした山中（やまなか）さんは「審査（しんさ）だからといって特別（とくべつ）な気持（きも）ちではなく、普段通（ふだんどお）りを意識（いしき）して審査（しんさ）に挑（いど）んだ。誰（だれ）が相手（あいて）だとしても気合（きあい）や気迫（きはく）を変（か）えず、集中（しゅうちゅう）を途切（とぎ）らせないことを意識（いしき）した」と当日（とうじつ）を振（ふ）り返（かえ）ります。お世話（せわ）になっている先生方（せんせいがた）に合格（ごうかく）の結果（けっか）を報告（ほうこく）した時（とき）には「これまで積（つ）み上（あ）げてきたものを達成（たっせい）したことで気持（きも）ちが高（たか）ぶり、うれしいという感情（かんじょう）の一方（いっぽう）、最高段位（さいこうだんい）としての身（み）の置（お）き方（かた）を重（おも）く実感（じっかん）した」と話（はな）します。
幼稚園児（ようちえんじ）の頃（ころ）、兄（あに）と一緒（いっしょ）に剣道（けんどう）を始（は）めた山中（やまなか）さん。これまで基本（きほん）に忠実（ちゅうじつ）に、地道（じみち）に稽古（けいこ）を重（かさ）ねてきました。現在（げんざい）は、会社員（かいしゃいん）として勤務（きんむ）しながら、自（みずか）らの稽古（けいこ）をするだけでなく、少年剣道（しょねんけんどう）の育成（いくせい）にも携（かか）わっています。仕事（しごと）の日（ひ）は仕事（しごと）が終（お）わってから週（しゅう）3日・4日ほど、休（やす）みの日（ひ）は各稽古会（かくけいこかい）に参加（さんか）しており、「環境（かんきょう）が変（か）わっても剣道（けんどう）はどこでもできる」と、さまざまな道場（どうじょう）へ赴（い）き、剣道（けんどう）に合（あ）わせてスケジュールを調整（ちょうせい）するなど、剣道中心（けんどうちゅうしん）の生活（せいかつ）を送（おく）っています。
山中（やまなか）さんは、これまでの剣道人生（けんどうじんせい）を「試合（しあい）に負（ま）けたり、審査（しんさ）に落（お）ちたりしても、壁（かべ）と感（かん）じたことはない。そこには必（かなら）ず原因（げんいん）があり、自分（じぶん）の課題（かだい）が明確（めいかく）になって、成長（せいちょう）につながる。それを子（こ）どもたちに伝えたい」と話（はな）します。また、「自分（じぶん）は恵（めぐ）まれている。恩師（おんし）である白石（しらいし）先生に出会（であ）えたことで、普通（ふうつ）では出会（であ）えない先生方（せんせいがた）にも出会（であ）うことができた。良（よ）い巡（めぐ）り合（あ）わせに、人（ひと）の縁（えん）を感（かん）じている」と感謝（かんしゃ）を語（かた）ります。
今後（こんご）の目標（もくひょう）について、「子（こ）どもたちの目標（もくひょう）となれるよう、恩師（おんし）の背（せ）を追（お）って、剣道（けんどう）を広（ひろ）めていきたい」と、生涯剣道（しょうがいけんどう）を宣言（せんげん）する山中（やまなか）さん。その剣先（けんさき）は、道（みち）を極（きわ）めた末（すえ）に至（いた）る更（さら）なる境地（きょうち）へと向（む）かいます。