榎本 遼香さん
宇都宮市には、スポーツや芸術をはじめ様々な分野で、日本一になったり日本を代表する活躍をしている人がたくさんいます。そんな、輝いている「宮っこ」を紹介します。
1.8秒に思いを込めてたゆまぬ努力で夢舞台へ
榎本 遼香さん
新型コロナウイルス感染症の影響で1年の延期を経て4月に開催されたFINA飛び込みワールドカップ2020。この大会は、東京オリンピック日本代表の選考対象となる国際大会で、本大会に出場した榎本遼香さんは、3メートル個人板飛び込み、3メートルシンクロ板飛び込みの2種目それぞれで8位に入賞。見事、東京オリンピック代表の座をつかみ取りました。
この2種目の代表内定に榎本さんは「日本選手の思いを背負っているという責任を感じていたので、嬉しいよりも先にほっとした」と胸をなで下ろします。
また、1年越しに迎えた国際大会での1本目は「足が震えて緊張した」という榎本さん。しかし、日ごろから大切にしているという助走の1歩目に意識を向け、その緊張を感じさせない演技を披露しました。この演技について榎本さんは「常に試合を想定した練習をしていたからこそ、本番では自分の持っている力を引き出し、戦うことができた」と振り返ります。
榎本さんが出場した3メートル板飛び込みは、飛び板から空中に飛び出し着水するまで1.8秒。このわずかな時間で一連の動作の技術や美しさを競います。榎本さんは「1.8秒という一瞬の勝負だからこそ絶対がなく、毎試合でチャンスが生まれる。また、5本の演技の合計点で競うため、次の1本で取り返すことが難しい」と競技の魅力と1本のミスが大きな影響を与えかねないという繊細さを語ります。
自身の強みを「海外の選手にも負けない、指先まで丁寧で美しい演技」と分析する榎本さん。「基礎練習を徹底することで、どんな板の跳ね返りにも対応できるようになる」と、プールでの練習はもちろん、陸上トレーニングでの体作りにも力を入れます。一つ一つの練習に明確な目的を持つ榎本さんについて、コーチの松本さんは「強いこだわりを持って練習に取り組んでいる。失敗したことを修正する力が非常に高い」と納得の表情です。
榎本さんの競技人生における目標は、演技力だけでなく、人間力にも憧れを持ってもらえるような選手になること。結果が出るまでに時間がかかると言われる飛び込み競技で恐怖心や苦難を乗り越え、オリンピックへの扉を開いた榎本さん。まだ見ぬ夢舞台へ力強く飛び上がります。
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